良い工務店とはどういったところでしょうか?
どうやって見分けることができますか?

家を建てることは一生に一度の大きなイベントです。大きなお金も動きます。失敗したくないですよね。そのためには良い工務店を選ぶ必要があります。しかし、良い工務店とは一体どういうところであって、どうやって見分ければよいでしょうか。

悪い工務店の見分け方

まずはネガティブなことから書きます。悪い工務店の見分け方です。
そもそも悪い工務店はなぜあなたに悪いことをしようとするのでしょうか? あなたに個人的な恨みがあるから? いいえ。お金を儲けたいからです。お金を儲けることそのものは悪いことではないのですが、それが社会ルールに反していたり詐欺だったりするレベルでやっている工務店というのが、悪い工務店です。
お金を儲けるためとなってくると方法は2つしかありません。売上を上げるかコストを抑えるかです。これは工務店に限った話ではなくどの商売でも同じなので、自分が悪い工務店になったつもりで考えてみると手口が見えやすいです。

売上を極大化するために悪どいことをしようとすると、ある意味で手口は簡単です。上限限度額いっぱいまで家の価格を上げます。こだわる部分とそうでない部分にメリハリをつけるとかは関係なく、人気とかはやりとかステータスとか皆さんそうしているとかそういった理由で押し付けてきて総額をあげようとします。

コストを極小化するためにあくどい事をしようとすると、手口は巧妙になります。基本的にやることは手抜き工事になるのですが、耐震基準や高気密住宅といった新しいことについて勉強しないというのも、コストの下げ方の一つです。

良い工務店の見分け方

悪い工務店の手口が分かるようになると、良い工務店がどのようなものか分かってきます。それと逆のことをするところです。

まず、売上を極大化しようとせず、ちゃんと施主であるあなたの等身大の姿を見ようとすることです。これは2つの意味があります。一つはお金のことが等身大ということです。家を建てるのにお金がかかることは確かだし、節約すればよいというものでもありません。お金のことをちゃんと説明してくれる工務店、家以外のことまで含めてちゃんとお金の面から見たあなたとあなたの家族の生活のことまで考えてくれる工務店が良い工務店ということになります。

2つめの等身大というのは家の設計や設備が等身大という意味です。ただ金を使わせようとする工務店はだめですが、ただ節約をするだけというのも違います。価格が高いか安いかというのは単に金額を比較して決めることではなくて、施主の価値観に基づいて決めることだからです。またあの設備はだめこの工法はだめあのメーカーは名前だけみたいにやたらにネガティブなことをいうのもどうかと思います。特にそれが新しいものである場合、不勉強を職人的な意固地さでごまかしているだけかもしれません。
これらを見分けるには質問をするしかないです。お金のことでも土地のことでも建物のことでも、疑問に思ったり迷ったりしたことがあれば必ず質問をして、その答え方を観察します。不誠実、ごまかし、決めつけ、専門知識ではぐらかす、面倒くさそうにする、こちらがどうしてそういう事を考えたのかについて洞察しようとしない。そういったことをしない工務店が良い工務店だといえます。

コストを下げるほうが見分け方が難しいです。なぜなら買い手側に専門知識がないからです。しかし見分ける方法はあります。
1つ目は質問をすることです。上述と同じ理由で、ちゃんと答えてくれる工務店は良い工務店ですし、ごまかしたりはぐらかしたりするところは危ないと見るべきでしょう。これは施主側の専門知識のなさに乗じて来るやり方なので、こちらが知識のない分野について説明をしてほしいと行ったときに、丸め込もうとしたり、脅そうとしたりするところは、特に危ないです。こういうことをせずに、技術的なことであっても真摯に説明をしてくれる工務店は良い工務店でしょう。
2つ目はアフターサービスです。手抜き工事をすればどこかにそのしわ寄せが来るわけなので、それは建築後どこかで表れます。それは引き渡し後すぐかもしれないし、1年後かもしれません。手抜きをした工務店はそうなることは分かっているわけなので、当の本人はなるだけそういった物件からは遠ざかっておきたい、手離れ良く、金だけ受け取ったらあとはもう無関係でいたい、と思うのが当然ではないでしょうか。ですので、ちゃんとアフターサービスをする工務店というのは、それだけ建てた家に自信があるし、信用もできるということになります。

さらにより良い工務店を見つけるために

良い工務店・悪い工務店というのは、どうしても「騙されないため」というネガティブな方向からの説明になってしまいますが、結局はその解決策は「価値観をしっかりと持ってよく質問をする」ということになります。本来はこれは、これだけ大きな売買をするのだから、売る方にとっても買う方にとっても当たり前のことだとはいえます。これができた上で、さらに良い工務店とはどうやって選べばよいのかを説明しましょう。

デザインが良い/デサインセンスが合う

騙されないためによく気をつけることも大切ですが、もともとは夢を叶えたいから家を建てるわけです。賃貸や分譲に夢がないわけではないですが、工務店を選んで注文住宅を建てるという人の最大の動機は、一生モノの夢を叶えたいということに尽きるでしょう。
ならば、格好いいこと、センスが良いこと、そのセンスが自分のセンスと合うことは決定的に大切です。こんなものに根拠はいりません。あなたが格好いいと思えばそれがいい家です。こういう格好いい家を建てた工務店が良い工務店です。
そういう工務店はもちろん自分の建てたものに自信を持っています。見てもらいたいと思っています。だから、工務店の内覧会などには積極的に参加してみましょう。なるだけご家族一緒で。百聞は一見にしかず、です。

新しい技術に対して基本的に前向きである

耐震基準は厳しくなってきています。また素材や設備は新しいものが出てきていますし、良いものも出てきています。技術は日進月歩です。なんでも新しいものでないとだめだというのも間違っていますが、新しいものは何でもけなすというのも間違っています。
古くからあるものの善悪を見分けるのは簡単です。しかし新しいものをまっとうに評価するには勉強が必要です。新しい耐震工法や、保険などの新しい制度、高気密住宅などの新しい技法などに詳しく、かつそれを採用する理由を新しいという理由ではなくきちんと説明できる工務店を選ぶべきでしょう。

地域に密着している

全国規模の大手ハウジングメーカーの建てた家が良いか悪いかというのはいろいろな立場があります。これについてはいろいろな説明もありますし、それぞれの論者の立場というものもあります。是非についてはここでは言及しませんが、一つ言えるのは、注文住宅を建てるために工務店を選ぼうとする時は、地域密着のほうが良いです。日当たりや気候、学校や役所など、その土地ならではの生活の手触りのようなものを理解しているのは地元の人ということになりますし、また手広く大量に調達できるからコストダウンが図れるという大企業ゆえのメリットは注文住宅の場合はあまり効果を発揮しないということもあります。

この土地でのライフステージを具体的に理解している

地域密着の結果とも言えますが、大切なことなので独立して説明します。
家は何十年も住むものですので、ライフスタイルと行っても今だけのことではなくて、何十年というスパンで考える必要があります。それを家という形に落とし込むわけですが、その何十年のライフステージというのは、生命保険のモデル家族などで出てくる「◯歳で第二子誕生、◯歳で第一子大学進学・・・」などといったものではないはずです。どこのだれでもないモデル家族の人生ではなくて、ここに住んでいるあなたとあなたのご家族自身の人生です。これを、実際に住んでいる土地と切り離して考えることができるでしょうか。